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前田留吉らが牛乳販売を始めた当初、牛乳は生乳、つまり、しぼったままの乳で、殺菌されていないものが、あたたかいまま配達することが多かったようです。米国では、明治20年頃からパスツールの低温殺菌法に基づいた処理が行われていましたが、日本で牛乳が殺菌されるようになったのは、それよりもしばらく後のことになります。
明治33(1899)年、東京・愛光舎という牧場を経営していた角倉賀道が米国視察から帰国し、牛乳の蒸気殺菌を行いました。同じく、強国舎の田村貞馬も米国を訪問したのち、「蒸気殺菌牛乳」という看板を掲げて、殺菌牛乳を販売するようになりました。これはバック殺菌という方法で、密封したビン詰めの牛乳を蒸気の高温で殺菌するものでした。
大正時代の終わり頃から、低温殺菌法の採用がみられるようになります。その先駆けのひとつ、東京の和田牛乳店では、牧場でしぼった生乳をミルクプラントに運び、低温殺菌処理をしてからビン詰めして配達したと言います。
昭和2(1927)年、「牛乳業取締規則施行細則」(施行は昭和3年)により、初めて牛乳の殺菌処理が義務づけられました。この規則では、63℃以下30分間以内の加熱が定められています。これ以降、あたたかいまま配達されていた牛乳(生乳)は、冷たくして届けられるようになりました。
その後、牛乳の殺菌技術は進化を続け、現在では次の5つの殺菌方法に大別されています。日本では(4)の超高温瞬間殺菌法が9割を占めています。
※詳しくはこちらをご覧ください。
- 低温保持殺菌法:62〜65度・30分殺菌
- 高温保持殺菌法:75度以上・15分以上殺菌
- 高温短時間殺菌法:72度以上・15秒以上殺菌
- 超高温瞬間殺菌法:120〜130度・2〜3秒殺菌
- 超高温滅菌殺菌法:135〜150度・1〜4秒殺菌
牛乳の品質管理技術は日々進歩し、現在は、多くの乳業メーカーが、HACCPという、NASA(アメリカ航空宇宙局)で宇宙食の安全確保のために開発されたシステムを採用しています。これは、原料から製造、加工、出荷まで、すべてのプロセスで、想定される危害を事前に予測して、防止するというもの。牛乳は、栄養があっておいしいだけでなく、安心・安全の面でも徹底した配慮がなされています。
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