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第1回 配達の歴史編
第2回 牛乳の容器編
第3回 味と品質編
宅配牛乳歴史資料館 第3回 味と品質編
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和牛からホルスタインへ
●ホルスタイン種 「乳牛の女王」とも言われるホルスタインは、日本の乳牛の約99%を占める。
●ホルスタイン種
「乳牛の女王」とも言われるホルスタインは、日本の乳牛の約99%を占める。

日本の搾乳の始まりは、1866(慶応2)年だったと言われています。前田留吉という人が、6頭の牛を飼い、この牛からしぼった牛乳を売り出しました。

現在、日本の牛乳は99%以上がホルスタインという、白と黒のブチ模様でおなじみの乳牛からしぼられています。しかし、オランダ原産のホルスタイン種は当時は日本には入ってきておらず、前田留吉が飼った牛は、いわゆる和牛でした。この和牛は、現在の食肉用に改良された和牛とは異なり、農耕などの労役に使われていました。和牛は、もともと人間に乳をしぼられたこともなく、乳の量も少ししかとれませんでした。もっぱら薬用として飲まれていた当時の牛乳が非常に高価だったのには、このような背景もあったのでしょう。

明治時代に入ると、金沢の東方真平、東京の阪川當晴らが、洋牛を輸入して牛乳の販売を開始しました。6頭の和牛を病気のために失った前田留吉も、明治7年に渡米して乳牛115頭を買い付けています。当時、生きた牛を輸入するには相当な苦労があったはずですが、ホルスタインからとれる牛乳の量は、和牛の5倍。牛乳の味が人々の間に浸透していくにつれ、洋牛でなければ消費量に追いつかない事情があったのです。彼らの功績もあって、日本の酪農の主役はホルスタイン種となり、平成16年で、471,400頭ものホルスタインが飼育されていると農林水産省より発表されています。

ちなみに現在のホルスタイン種は、1年間で7,000〜9,000kgの乳がしぼられます。これは1日あたり、1リットルの牛乳パックで30〜40本もの量になります。スーパーカウと呼ばれる牛になると、年間で2万kgの牛乳がとれるというから驚きです。

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あたたかいままの生乳を配達

前田留吉らが牛乳販売を始めた当初、牛乳は生乳、つまり、しぼったままの乳で、殺菌されていないものが、あたたかいまま配達することが多かったようです。米国では、明治20年頃からパスツールの低温殺菌法に基づいた処理が行われていましたが、日本で牛乳が殺菌されるようになったのは、それよりもしばらく後のことになります。

明治33(1899)年、東京・愛光舎という牧場を経営していた角倉賀道が米国視察から帰国し、牛乳の蒸気殺菌を行いました。同じく、強国舎の田村貞馬も米国を訪問したのち、「蒸気殺菌牛乳」という看板を掲げて、殺菌牛乳を販売するようになりました。これはバック殺菌という方法で、密封したビン詰めの牛乳を蒸気の高温で殺菌するものでした。

大正時代の終わり頃から、低温殺菌法の採用がみられるようになります。その先駆けのひとつ、東京の和田牛乳店では、牧場でしぼった生乳をミルクプラントに運び、低温殺菌処理をしてからビン詰めして配達したと言います。

昭和2(1927)年、「牛乳業取締規則施行細則」(施行は昭和3年)により、初めて牛乳の殺菌処理が義務づけられました。この規則では、63℃以下30分間以内の加熱が定められています。これ以降、あたたかいまま配達されていた牛乳(生乳)は、冷たくして届けられるようになりました。

その後、牛乳の殺菌技術は進化を続け、現在では次の5つの殺菌方法に大別されています。日本では(4)の超高温瞬間殺菌法が9割を占めています。

※詳しくはこちらをご覧ください。

  1. 低温保持殺菌法:62〜65度・30分殺菌
  2. 高温保持殺菌法:75度以上・15分以上殺菌
  3. 高温短時間殺菌法:72度以上・15秒以上殺菌
  4. 超高温瞬間殺菌法:120〜130度・2〜3秒殺菌
  5. 超高温滅菌殺菌法:135〜150度・1〜4秒殺菌

牛乳の品質管理技術は日々進歩し、現在は、多くの乳業メーカーが、HACCPという、NASA(アメリカ航空宇宙局)で宇宙食の安全確保のために開発されたシステムを採用しています。これは、原料から製造、加工、出荷まで、すべてのプロセスで、想定される危害を事前に予測して、防止するというもの。牛乳は、栄養があっておいしいだけでなく、安心・安全の面でも徹底した配慮がなされています。

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味や栄養も多種多様に
●現在の牛乳工場 多くの乳業メーカーでは、HACCPと呼ばれる高度な品質管理が行われている。
●現在の牛乳工場 多くの乳業メーカーでは、HACCPと呼ばれる高度な品質管理が行われている。
●現在の牛乳工場
多くの乳業メーカーでは、HACCPと呼ばれる高度な品質管理が行われている。

しぼったままの生乳から、殺菌した牛乳の時代を経て、昭和27年以降、新たなバリエーションが生まれます。「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)で、殺菌した牛乳以外に、加工乳が認められるようになったのです。この頃になると、牛乳の生産量が消費需要に追いつかなくなっていたため、生乳に脱脂粉乳やクリーム、バターを加えて調整した加工乳が流行。牛乳とはまた異なる、コクのある味わいが国民の間に浸透し、昭和40年代には50%以上のシェアを占めるようになったと言います。

なお、現在の牛乳類の種別は次の通りです。

※詳しくはこちらをご覧ください。

  1. 牛乳:生乳が100%そのまま
  2. 部分脱脂乳・脱脂乳:乳脂肪分を調整
  3. 加工乳:生乳以外の乳製品を含む
  4. 乳飲料:生乳・乳製品以外の成分を含む

宅配牛乳でも、牛乳だけでなく、加工乳なども取り扱っています。特に、カルシウムや鉄分などの栄養を強化した、宅配でしか飲むことができない専用商品も数多くあります。また、宅配店によっては、ヨーグルトや野菜ジュースなど、牛乳以外の商品も扱っており、ますます便利になっています。

参考文献

『牛乳と日本人[新版]』(吉田豊著、2000年、新宿書房刊)

『東京牛乳物語』(黒川鍾信著、1998年、新潮社刊)

『東京の牛乳衛生史──130年のあゆみ──』(海沼勝著、2001年刊)

『MILK CAP 牛乳ビンのふたの本』(和田安郎監修、2002年、きんとうん出版刊)

J-MILK(社団法人日本酪農乳業協会)ホームページ

資料協力

明治乳業株式会社

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