INTERVIEW:有限会社元気屋 代表取締役 菊池克典さん 専務 菊池美樹さん 常務 半沢美聡さん TOWN GUIDE:新潟県湯沢町・六日町

文豪川端康成が愛した雪国、湯沢

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった」
川端康成の小説『雪国』の、あまりにも有名な冒頭の一節です。ここで言うトンネルは昭和6(1931)年に開通した上越線の清水トンネルのことを指していますが、いま新幹線が抜けるトンネルは上越新幹線の大清水トンネル。全長22,221メートルのこのトンネルを東京方面から抜けると、次は越後湯沢駅です。冬は『雪国』さながら、トンネルを抜けると一面が白銀の世界に急変し、驚かされることがよくあります。現在は、苗場をはじめとするスキー場でシーズン中は大賑わいの湯沢ですが、川端康成が初めてかの地を訪れたのは昭和9年のこと。以来、数年間通いつめ、湯沢を舞台とした小説『雪国』を執筆しました。

越後湯沢駅からほど近くにあるのは湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」。『雪国』のヒロイン駒子のモデル、松栄の住まいの再現や、川端康成の遺愛品の展示だけでなく、雪国の住生活が実感できるコーナーも充実しています。ここから温泉街を歩いていくと「雪国の宿 高半」があります。川端が逗留した「かすみの間」は当時のままに移設・保存されていて、見学が可能。窓からのぞむ山々の眺望は当時とそう変わらないそうです。悲恋の物語を思いながら眺める雪景色は、スキーの活況とは裏腹に、なぜかもの悲しく思えてくるようです。駅の東側には、川端の自筆が刻まれた「雪国の碑」もあるので、「雪国」めぐりのしめくくりにいかがでしょうか。

アフタースキーには天然温泉の外湯めぐりを

湯沢と言えば、温泉も有名。大樹販売の菊池さんもおすすめの湯沢温泉は、越後三名湯(湯沢、妙高高原、松之山)のひとつです。アフタースキー&スノーボードに温泉宿でリラックスするのも最高ですが、外湯めぐりをしてみるのも秘かな楽しみのひとつ。「山の湯」「街道の湯」「駒子の湯」「宿場の湯」「岩の湯」などの町営浴場があり、いずれも大人400~600円という安価な価格設定。ひととおり楽しむには、1,500円の「外湯めぐり券」がお得です。スキー客や観光客に混じって、地元の方も頻繁に利用していて、足腰を悪くした方などが通って湯治されていたりもするそうです。

外湯の中でももっとも古い「山の湯」は他の外湯とは源泉が異なり、湯沢温泉では珍しく、硫黄臭を伴っています。お肌がスベスベになると地元の方にも評判で、湯沢に来たらぜひ立ち寄ってみたい名湯。川端康成も浸かったということです。
大樹販売の菊池さんは「奥湯沢まで足を伸ばしてみるのも」と、貝掛(かいかけ)温泉もおすすめしてくれました。越後湯沢からクルマでおよそ20分。清津川沿いにある風雅な温泉旅館です。
「ここは目にいいと言われる珍しい温泉です。岩づくりの露天風呂で、とても気持ちいいですよ」

自然豊かな六日町のいろんな楽しみ方





六日町は、平成16年に大和町と合併し、今は南魚沼市となっています。越後三山(駒ヶ岳、中ノ岳、八海山)のひとつ、八海山に抱かれた町です。その八海山には、四合目までロープウェーが架かっていて、春から夏にかけては新緑が、秋は紅葉が楽しめます。展望台からは、晴れていれば遠く佐渡島までも見渡せるそうです。
八海山と言えば、かの銘酒を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。その八海山の醸造元がプロデュースする「八海山泉ビール苑」では、「ピルスナー」「ヴァイツェン」「アルト」の3タイプの地ビールを楽しむことができます。八海山から流れ出る水のうまさ、麦芽やホップがもつ複雑な味わいは、地元産の「もち豚」を使用した料理とも相性バツグン。八海山麓の自然には、ビールのさわやかさがよく合います。
自然が豊かな南魚沼は、カタクリが群生することでも知られています。カタクリはユリ科の多年草で、早春に高さ15センチほどの茎を1本出し、紅紫色の花をつけます。かつて山城だった坂戸城跡のある坂戸山の群生地には、六日町駅から往復2時間40分のトレッキングコースがあります。カタクリだけでなく、キクザキイチゲやナガハシスミレといったかわいらしい春の花々、そしておいしい空気が満喫できます。

山を下ると夏の「川床」で有名な貴船神社に到着します。長い石段と灯籠が並ぶ山門を上ると本堂の横に二頭の馬の像が見えます。これは絵馬発祥といわれる二頭の馬で、古来より雨乞の社として名高かった貴船神社に、歴代天皇より日照りには生きた黒馬を、長雨には白馬又は赤馬をその都度献げて祈願されました。平安時代の文献である「類聚符宣抄(るいじゅうふせんしょう)」で、その生馬に換えて「板立馬」を奉納したのが今日の絵馬の原形と言われています。今ではさまざまな願いを託していますが、もともとは天気のお願いをしていたのですね。
一通り回ると半日以上かかるこのスポット、時間の余裕があるときにでも一度訪れてみたいスポットの一つです。

写真協力:湯沢町都市施設公社、南魚沼市観光協会