乳脂肪は、牛乳中に小さな粒子となっていますが、牛乳の製造過程でホモジナイザーという機械で、さらに小さな脂肪球に砕き分散させるので表面積が大きく、消化酵素による働きを受けやすく、他の脂肪に比べ消化吸収のよいのが特長です。
そのため、幼児や児童、高齢者や病気治療中の人にとっては、大切な脂質摂取源となります。
乳脂肪の成分は、トリグリセリド(中性脂肪)が脂質全体の97~98%を占め、脂肪球の表面には、リン脂質、コレステロール、脂溶性ビタミンなどが存在し、これらのたんぱく質を主成分とする膜が包んで、脂肪球同士がくっつかないような状態で、牛乳中に浮遊しています。
体内で乳脂肪を消化するには、リパーゼという加水分解酵素によって、数種類の脂肪酸に分解され、吸収されます。
牛乳の脂質である乳脂肪分は、牛乳200ml当たり五訂日本食品標準成分表によると普通牛乳(成分無調整)の場合は7.8gになり、エネルギーは70kcalと牛乳全体の約半分に相当しますが、脂溶性ビタミンのA・Kは脂質に溶けているので、これらビタミンの重要な供給源なのです。
また乳脂肪は、牛乳のコクのあるおいしさのもと。生クリームやバターの原料として、ケーキやデザート、そして料理の素材の味を引き立ててくれることはご承知のとおりでしょう。
さらに、コレステロールを気にする人もいるようですが、下図のように牛乳200mlで25mg、バター・チーズ・ヨーグルトも一回に食べる量では気にする程ではありません。
2000年12月に(社)全国牛乳普及協会が国際学術フォーラム「脂質・コレステロール:過去、現在、未来」(東京国際会議場)のテーマで開催した中で、東京逓信病院参与で内科医の権威である内藤周幸先生は、「牛乳摂取と血清コレステロール」について実験結果を基に、日本人の成人の場合、毎日種類別「牛乳」を400~600ml飲み続けても血中コレステロールの上昇はなかった、と講演されています。
また、コレステロールは、細胞膜の構成に欠かせない成分ですし、ホルモンなどの原料にもなるものなので、体内で1日当たり1,000~1,500mgもつくられています。そのため食事摂取基準では、一般成人の場合、摂取基準は設けられていません。
しかし、高コレステロール血症体質の人では、コレステロール摂取量を1日300mg以下に抑えることが望ましいとされています。
一方、乳脂肪中のリノール酸の中の、共役(きょうやく)リノール酸が、最近注目されています。リノール酸はがんなどの発生に関係する(疫学調査では不明)といわれていますが、牛乳中の共役リノール酸は、がんを強く抑制、抗肥満効果やアレルギー反応の軽減効果が明らかにされ、今後期待される物質といえそうです。
●1回に食べる量のコレステロール含有量
